卒業生

まちづくりを通して、より多くの人の役に立てる仕事を

小倉 一晃 法学部 自治行政学科 卒業
職種:公務員
就職先:東京都庁

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2つの部門の間に立って予算編成を進める

建設局総務部計理課に所属し、建設局事業(公園関係)に関わる予算の編成、執行管理、決算についての事務に携わっています。計画的な局事業執行のため、事業の執行を担う「公園緑地部」からヒアリング等を行い、事業の必要性や必要経費などを資料にまとめて、都の予算その他の財務に関することを所管する「財務局」に説明・調整を行うのが私の仕事です。

ある予算についての考えは、立場によって異なります。私たちが必要だと考える内容も、財務局の担当者はそう思わないかもしれません。都民の皆様の大切な公金を扱うわけですから慎重になるのは当然で、財務局に対し、理路整然とした説明が求められます。ですから私は、相手の立場に立って考えながら資料をつくり、担当者が疑問を持ちそうな箇所については特に丁寧に説明することを心がけています。「計理課」というと数字だけを見ているようなイメージを持たれがちですが、実は、いちばん大切なのはコミュニケーションであると私は思っています。しっかり相手の話に耳を傾け、意見の相違があってもできるだけ肯定的に受け止めるようにしています。対立するような態度を取っていては、まとまる話もまとまりません。私たちは敵同士ではなく、大きな枠組みで言えば、都政を担う仲間なのです。

説明と調整を繰り返すのは骨が折れますが、その分、無事に予算案が通った際の達成感はひとしおです。また、休日に公園等を散策していて、自分の関わった事業が実施されているのを見かけた時も都職員の一員として都政を担っているのだという誇らしい気持ちになります。

現在入庁5年目。最初の配属は町田にある建設事務所で、そこで約3年間、事務所内の経理業務にあたりました。当時の上司に「都政に幅広く関わっていきたいなら、体力のある若いうちに予算業務を経験しておいた方がいいよ」と勧められたこともあり、希望を出して現在の部署へ異動。先のキャリアのことまで考えてアドバイスをくださる本当に頼れる上司でした。

前の部署でも今の部署でも面倒見の良い上司や先輩、なんでも相談できる同僚に出会うことができ、私は恵まれていると思います。建設局の組織全体に「若い世代を育てよう」という気風が満ちているのを感じ、感謝しかありません。

まちづくりなら、より多くの人のために働くことができる

公務員に目を向けたきっかけは、中学時代にドラマ『海猿』を見て潜水士に憧れたこと。幼少時から水泳を習っていたこともあり「身体を使って誰かを助けるって、かっこいい!」と思ったんです。調べるうちに海上保安庁に所属する潜水士が公務員であることや、公務員には他にもさまざまな仕事があることを知り、「まずは大学で学んで、警察官や消防官になるのもいいかも。」と進路を再考。資格試験予備校と提携した「公務員養成プログラム」と、公務員への合格率の高さに惹かれて、神大法学部の自治行政学科へ進学を決めました。

転機になったのは、2・3年次で履修した都市政策の講義です。「公務員の立場から考えるまちづくり」という視点がユニークで、公務員が持つ可能性の大きさに衝撃を受けました。「身体を使って人を助けるのもいいけれど、そもそも誰もが安心して暮らせる環境を政策的につくることができたら、もっと多くの人の役に立てるのでは?」―授業で生まれたまちづくりへの関心から、私の目標は自治体職員へと移っていきました。

では、“どこで”まちづくりに携わるか。国だと範囲が広すぎる。市区町村でもまちづくりはできるけれど、基礎自治体(市町村・特別区)や民間企業など多様な相手と協働したさまざまな施策を実行しやすいのは、やっぱり都道府県。中でも自分が生まれ育った東京都は、予算の規模が桁違いです。

東京都というフィールドなら自分のやりたいまちづくりができるのではないか、その思いを決定的にしたのは、就職課主催の公務員座談会で聞いた、都庁で働く先輩の言葉でした。「都庁は数年おきに、まったく違う部門への異動がある。民間企業での転職に匹敵するほどの新鮮な体験を、ひとつの組織で働きながら味わうことができる」。それは、まちづくりをあらゆる角度から経験できるということでもあります。それが最後のひと押しとなって、東京都を第一志望に決めました。

最後まで自分を信じて、諦めずにやり切る

大変だったのが公務員試験に向けた勉強。実は、東京都の試験形式は少し特殊なのです。例えば「専門科目」の試験は、他自治体ではマークシート方式の「専門択一」ですが、東京都では解答を文章にまとめる「専門記述」が出題されます。しかも、当時神大から都庁を目指す人は少なかったので、東京都の対策は公務員養成プログラムでもほとんどカバーされていませんでした。情報交換をする友人がいない、テキストを使って自習するしか手立てがない。そんな手探りの毎日に不安を覚え、講座の先生に相談すると、本気で東京都を目指すなら、都庁対策講座を追加した方がいいとアドバイスをもらいました。

昼間は学内の公務員養成プログラムを受けながら、夜間は学外の公務員試験予備校で東京都に特化した専門対策講座を受けることに決め、それからは勉強、勉強の日々。大学ではゼミナールの先生に相談し、何度も記述問題の添削をお願いしました。

「コロナ禍で、東京都の試験が2カ月後ろ倒しになる」という知らせが飛び込んできたのは、そんな時期。夏のうちに就職先を決めてしまった同級生もいるのに、自分は先延ばしか…と不安に苛まれました。併願した他自治体の試験も、対策してこなかったSPIが足を引っ張り不合格。「どこにも就職できなかったらどうしよう」と追い込まれた気持ちになりました。それだけに、12月に東京都から内定の知らせをもらったときはなかなか実感がわかず、両親や、ゼミナールの先生の方が私より先に喜んでくれたぐらいです。

将来を見据え、公務員試験の勉強を進めていく中では本当にいろいろなことがありました。不安になったこともありましたが、第一志望である東京都に入庁できたのは、最後まで諦めなかったからだと思っています。学生の皆さんも、自分を信じて、夢に向かって最後まで走り抜けてください。

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※内容はすべて取材当時のものです。