職員

“できること”を手の中に。私がこの場所で働く理由

横浜キャンパス・みなとみらいキャンパス・中山キャンパス
ヘルスキーパー(障がい者雇用)
2022年入職

神奈川大学では、2018年に教職員の健康推進と福利厚生、障がい者雇用の一環としてヘルスキーパールームを開設しました。

2026年3月現在、鍼・灸、あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格を保有するヘルスキーパー3名を雇用しています。

 

2018年 横浜キャンパス第1ヘルスキーパールーム開設

2021年 横浜キャンパス第2ヘルスキーパールーム開設/ みなとみらいキャンパスキャンパスヘルスキーパールーム開設

2022年 中山キャンパスでの出張施術を開始

INDEX

“真ん中”が見えない私の視界

私の目は黄斑ジストロフィーで、見ようとするものの“真ん中”が見えない先天性の障がいです。外を歩くこと自体には大きな支障はありませんが、慣れたキャンパスでも、頭の中で景色を思い描きながら一歩ずつ進む。そうやって、毎日の通勤も自分なりの工夫で組み立てています。

資格を取って、堂々と生きる

小中高は、親の希望で普通学級に通っており、苦労や不便しかない学生生活でした。卒業後は、目を使わない電話での仕事しており、結婚を機に専業主婦となりましたが、結婚22年目で離婚。それを機にハローワークで「資格を取って、堂々と生きませんか」と勧められ、横浜市盲特別支援学校にて3年間の課程で鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の国家資格を目指す道へ。“手の中にある技術”が、自分を支えてくれると感じるようになりました。

学ぶ時間は決して楽ではありませんでしたが、同級生や先生方と励まし合いながら、「自分の力で働ける場所がある」と思えるようになった。その実感が、今の仕事につながっています。

必要とされた場所へ

神奈川大学には、盲学校の進路指導の先生から紹介されて入職しました。この場所は、教職員が仕事の合間に体と心を整えるための場です。神奈川大学ヘルスキーパールームにおいては3人目の採用で、女性のヘルスキーパーは初。利用者層を広げたい時期だと聞きました。利用者が安心して施術を受けられるようにと、女性の施術者が求められていたこともあり、タイミングよく採用の機会を得ました。「この場所を、より多くの人にとって身近な場にしたい」という思いの中で迎えられたのだと感じています。学内にある“整える場”を支える一人として働くこと。その役割を任されたことが、「ここで必要とされている」と感じた瞬間でした。

オイルでほぐれる、体と心

私の入職を機に、ヘルスキーパールームではオイルマッサージが導入されました。盲学校で学んだ技術に加え、ロミロミの外部研修を受講し、自分なりにアレンジしています。利用者からの訴えと、実際にこわばっている場所が違うことも多く、その日の状態に合わせて手の感覚でアプローチを変えています。

教職員の皆さんは、授業や研究、窓口業務などで一日中体も頭も使い続けていると、知らず知らずのうちに力が入り続けてしまう。そんな状態で来られた方が、回を重ねるうちに表情をやわらげ、施術の途中で眠ってしまうことがあります。

「よく眠れるようになった」「体が軽くなった」と言われると、オイルで触れる温かさが、体だけでなく心にも届いているのだと実感します。気持ちが落ち込みがちだった方が、穏やかな表情で施術を受けるようになる変化に触れるたび、少しずつ緊張がほどけてきたのだと感じます。

「なるほど」と聞く時間

ヘルスキーパールームは、教職員の皆さんが様々な話ができる場所です。研究のこと、授業のこと、子育てのこと、日常の悩み。私は「こうしたら」とは言わず、「なるほど」と聞くことを大切にしています。

施術が終わる頃には、その人なりに気持ちの整理がついたような表情で部屋を出ていくこともあり、答えを出さなくても、「話せた」という感覚が残る。その様子を見ると、ここは体を整える場所であると同時に、気持ちを置いていける場所なのだと感じます。

何気ない一言から話が広がり、思いがけず深い話になることも多々あります。時には先生方の研究の話に触れ、「そんな分野があるんだ」と驚き、家に帰ってから調べてみることもあります。ヘルスキーパールームは、私自身が世界の広がりを受け取る場所でもあります。

安心して働ける場所で

こうした時間や関係性が生まれるのは、働く環境に安心感があるからだと思います。気持ちの面だけでなく、日々の動線や安全への配慮が行き届いていることも大きいと感じます。

神奈川大学では、障害者職業生活相談員を選任しており、定期的な面談で相談の場があり、困りごとを改善につなげる環境があります。入職時に、階段の段差が認識しづらいことを相談したところ、段差が判別できるよう黄色×黒色のタイルを設置してくださいました。困りごとを伝えるとすぐに対応してくれる。そんな環境があるから、安心して仕事に集中できています。

また、仕事の合間にはエクステンション講座を受講したり、スポーツセンターのトレーニングルームを利用したりと、大学ならではの楽しみ方もしています。

資格がなかった頃は不安も多くありましたが、今は神奈川大学の教職員の方々に向けて、自分の技術で役に立てる。ハローワークの職員さん、盲学校の先生や仲間、そしてこの職場で出会う人たち。目に見えない力に支えられて、私は“天職”だと思える仕事に就きました。体と心のほぐし方を、これからも探究し続けたいと思っています。

※内容はすべて取材当時のものです。