廃棄されるユズから、企業とともに未来の美肌をつくる
菅田 真帆
化学生命学部 生命機能学科 4年
出身地:神奈川県 横浜市
食品メーカー 内定
ユズの果汁を搾った後に残る「搾汁残渣(さくじゅうざんさ)」を使用して、株式会社キナリと共同で、ユズ果皮エキスが肌にどのような働きをもたらすのかを研究している、化学生命学部生命機能学科4年の菅田真帆さん。
今回は、廃棄されることが多いユズの残渣に新たな可能性を見出そうとしている菅田さんに、研究との出会いや企業との共同研究について話を聞きました。
INDEX
食品も美容も学びたい。その想いから選んだ研究テーマ
――現在はどのような研究を行っていますか。
ユズに含まれる成分が、皮膚にいる常在菌※1や皮膚細胞にどのような影響を与えるのかを研究しています。ユズ由来の成分が肌環境の改善やスキンケアに役立つ可能性について、実験を通して検証しています。
――なぜこの研究を選んだのでしょうか。
もともと私は食品分野と化粧品分野の両方に興味がありました。食品美容科学研究室(野嶽勇一研究室)のユズに関する研究テーマなら、二つの分野を同時に学ぶことができると思い、選びました。
また、ユズそのものに大きな可能性を感じたことに加え、本来は捨てられてしまう資源を有効活用できるという点にも魅力を感じました。ユズは主に果汁や外皮が利用されていて、内皮や種子は大量に廃棄されている現状がある中で、自分の興味と社会的な意義の両方が重なるテーマだったので、ぜひ挑戦したいと思いました。

企業と一緒に研究する面白さと責任
――株式会社キナリとの共同研究では、どのようなことをしていますか。
私たちは、ユズ果汁を搾った後に残る搾汁残渣※2に注目しています。その残渣から抽出した「ユズ果皮エキス」が、肌の健康を支える「美肌菌」※3と呼ばれる皮膚常在菌にどのような影響を与えるのかを調べています。将来的には、スキンケア素材としての活用の可能性も検討しています。
――共同研究を通して学んだことを教えてください。
研究を進める中で、自分一人ではなく、多くの方々の協力や支援によって研究が成り立っていることを実感しました。
企業の方々とも関わることで、研究に対する責任感もより強くなりました。決められた期限の中で結果を出すことの難しさを知ると同時に、研究成果が社会につながる可能性を意識するようになりました。
また、大学の研究が社会や企業とつながり、その先の製品開発につながる可能性があることは、共同研究ならではの大きな魅力だと感じています。
――印象に残っているエピソードはありますか。
細菌を用いた実験で思うような結果が得られなかった際に、さまざまな論文を調べて実験方法を見直してみたことがあります。その結果、試料を調製する際に使用する溶媒の種類にヒントを得て、自分なりに実験方法を組み直したところ、良好な測定データを得ることができました。目の前の課題を自分なりにできるだけ客観的に分析し、こうしたらうまくいくのではないかと仮説を立て、それを実際に改善できた点を評価していただきました。
共同研究を通して、実験技術だけでなく、課題解決力や主体的に考える力も身についたと感じています。

興味を出発点に、未来につながる研究へ
――神奈川大学の研究環境について教えてください。
研究設備や実験機器が充実していて、研究に集中しやすい環境が整っています。また、先生方が実験方法や研究の進め方を丁寧に指導してくださるので、安心して研究に取り組むことができます。困ったときに気軽に相談できる環境も魅力だと思います。

――今後の目標を教えてください。
現在進めている研究の成果を活かし、「ユズ果皮エキス」を使用した製品が実際に誕生したら嬉しいです。企業との共同研究を進めている中で、データをもっと集めて機能性の高い化粧品の開発に繋がればいいなと思っています。研究成果をもとに実際の商品が生まれれば、多くの人の肌の健康に貢献できるかもしれません。
卒業後は、大学で培った研究の知識や実験経験を活かし、商品開発や研究に携わり、人々の生活に役立つ商品づくりに貢献することが目標です。
――最後に高校生へメッセージをお願いします。
私は「食品も好き」「美容も好き」という興味から、この研究と食品美容科学研究室(野嶽勇一研究室)に出会いました。そして今は企業との共同研究という貴重な経験をしています。
神奈川大学には、自分の興味や関心を深く追究できる環境があります。高校生のみなさんにも、自分が本当に面白いと思えることを大切にしてほしいです。その興味が、将来の研究や夢につながるかもしれません。
オープンキャンパスでは来校した高校生に向け、自身の研究成果を発表した菅田さん。参加した高校生からは「本来捨てられるはずだったものを活かす研究」に魅力を感じる声が多く上がっていました。また、「大学生の研究が実生活に結びついていること」、「元々悩んでいた肌トラブルに直結する研究ができること」など、大学で学べること・挑戦できることの多様さに驚く声も聞かれました。
発表を終え、「オープンキャンパスは高校生に自分の研究の魅力を知ってもらえる絶好の機会なので、直接伝えられて嬉しい」と菅田さんは話してくれました。

注釈
※1)常在菌
ヒトに生息する細菌のこと。私たちの健康や疾患に深く関与している。腸には40兆個、口には100億個、皮膚には1兆個もの常在菌が生息している。
※2)残渣
搾った後やろ過した後に残る固形物のこと。
※3)美肌菌
肌の表面近くに生息する常在菌のうち、自らうるおい成分を作り出し、肌のバリア機能をサポートするなど、良い働きをするといわれている善玉菌の一種。
関連リンク
※内容はすべて取材当時のものです。