卒業生

諦めずに挑戦することで見えた本当の自分の姿。

茂居 真梨紗 経済学部 現代ビジネス学科
職種:客室乗務員
就職先:日本航空株式会社

INDEX

01父の言葉に背中を押され、大学3年次から客室乗務員を目指す

幼い頃から水泳、ソフトテニス、ラクロスと、さまざまなスポーツに打ち込み、大学時代はスポーツクラブでアルバイトをしていた私。就職を考える時期が近づいてきても“自分のキャラじゃないから”と、客室乗務員になることは考えていませんでした。そんな私の気持ちが変わったのは、大学3年次にニュージーランドへ短期留学をした時のこと。搭乗したJALの機内で、とても素敵なサービスをされる客室乗務員の方に出会い、そのキラキラした笑顔と上品な物腰に憧れを抱きました。帰国してからもずっと「あんな風になりたい」と言い続けていたところ、それを聞いた父から「だったら採用試験に挑戦してみれば?」と背中を押されたのです。もう大学3年生なのに、今から?エアライン業界の就職活動って、もっと早くから準備するものなんじゃないの?と、最初はためらっていましたが、「挑戦してみたい」という気持ちは日に日に大きくなるばかり。だから、やれるだけやってみることにしました。

 

心は決まりましたが、エアラインスクールや対策講座に通う時間もなく、できることは限られています。そこで頼りになったのが大学の就職課です。当時、元日本航空社員の方が講師を務め、話し方のコツを教えてくださる勉強会が開催されていました。その会に参加し、相手に上手に伝える話し方を身につけたおかげで家族以外の大人と緊張感を持たずに話すことができるようになり、実際の面接でも落ち着いて自分をアピールすることができたと思います。

 

日本航空がだめなら客室乗務員になることは諦めようと覚悟を決めていたので、内定の知らせを受け取った時はまさに夢心地。真っ先に父に報告すると、「娘が客室乗務員になったって、みんなに自慢しなきゃ」と照れ隠しを口にしながら、涙を流して喜んでくれました。今も時々考えます。エアライン業界についての勉強をしてきたわけではない、英語もそれほど得意ではない私がなぜ客室乗務員になることができたのだろう、と。もしかしたら、対策を立てる時間もなく、そのままの自分でぶつかるしかなかったことが逆に良かったのかもしれません。英語についても同じです。現場に入ってみて感じるのは「語学力だけがコミュニケーション能力ではない」ということ。もちろん言葉の壁がない方が誤解や行き違いは減りますが、実際の乗務の中では、笑顔や雰囲気、お客さまに寄り添う心が言葉以上に力を発揮する場面がたくさんあります。“自分なんて”と諦めず、挑戦して良かった。心からそう思います。

02学生時代に培われた体力や精神力に助けられる毎日

入社2年目までは国内線のみの乗務でしたが、フライト経験と訓練を重ね、徐々に担当できる業務の幅が広がってきました。6年目の現在は、国内線・国際線に乗務しています。国際線ファーストクラスを担当することもあります。私たちのモットーは、すべてのクラスで最高のサービスをお届けすること。現在、日本航空の国際線ファーストクラスでは、一機に8名のお客さまをお迎えし、3名の客室乗務員がサービスにあたっています。「JALのファーストクラスを信頼しているから」と選んでくださるお客さまも多いため、クオリティの高いサービスを求められるプレッシャーはありますが、フライト中に一人一人のお客さまをおもてなしする機会は多くあります。一方、国内線ではフライト時間が1時間弱しかない便もあり、およそ300名のお客さまの中には、ご搭乗と降機の際のごあいさつでしかお話しできない方もいらっしゃいます。だからこそ、一瞬のインプレッションが大切なのです。「今回の旅は楽しかった」と思っていただけるように、その時の笑顔に気持ちのすべてを込めています。

 

印象に残っているのは、乗務していたインド行きの便が現地に到着し、お降りになるお客さまからお手紙を受け取った時のことです。車いすをご利用なさるご高齢の女性でした。「こんなにきめ細やかなサービスを受けたのは初めて。きっと今回が人生最後の空の旅になると思うけれど、それがこの便で良かった。今日のフライトは世界一よ」という文面を読んで、この仕事を選んだ幸せをかみしめたことを覚えています。客室乗務員というと機内サービスの業務をイメージされる方が多いと思いますが、何よりも大切なのはお客さまを安全に目的地までお運びすること。何を隠そう私自身も、入社するまでは安全や保安についての訓練にここまで力を入れていることを知りませんでした。

 

客室乗務員のキラキラしている部分は氷山の一角で、お客さまから見えない部分には地味でハードな業務がたくさんあります。スケジュールひとつとっても、朝は早くて夜は遅い、まさに体力勝負の勤務体制です。でも、それに勝るやりがいがここにはあると私は信じています。“キャラじゃない”と思っていましたが、スポーツで培った体力やコロナ禍の逆境にも負けない精神力、部活で学んだコーチング力やリーダーシップなど、学生時代に形成された自分らしさに助けられる場面が想像以上に多く、実は私は客室乗務員に向いていたのかもしれないと思うことがあります。スポーツは今も大好きです。数年前に、何人かのメンバーとともに社内でラクロス部を立ち上げました。勤務拠点も職種もバラバラのメンバーと、練習や試合で一緒にプレーするのは最高の時間です。私は自分らしく高みを目指していくことができる、この会社の温かさを愛しています。

 

夢を夢のまま終わらせるのはもったいない。学生の皆さんも、まずは挑戦してみてください。何かをやり始めるのに早いも遅いもないのですから。

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※内容はすべて取材当時のものです。