卒業生

アルバイトや就職活動に取り組む中で、自分の適性と価値観が見えてきた。

石井 遼 外国語学部 スペイン語学科
職種:コンサルティング営業(銀行)
就職先:株式会社みずほ銀行

INDEX

01惣菜ショップでのアルバイトで“営業向き”の自分を知る

大学に入学した頃は、自分が金融機関で、しかもいわゆる総合職としてバリバリ働くなんて思ってもみませんでした。当時は、楽しく充実したキャンパスライフを送るためのお金を稼ぎたくて、百貨店の中にある惣菜ショップでのアルバイトに打ち込んでいました。サラダの量り売りが目玉商品の若い女性に人気のお店でしたが、一歩中に入ると実は体育会系。私は、学生アルバイトでありながら「コロッケ100個売ってきて!」と、社員と同等に厳しい指導を受けていました。そんな日々の中で、どうすれば売場の前を通る人の注意を引けるか、何と言えば次もまた来ようと思ってもらえるか、工夫しながらお客さまとお話するのが楽しいことに気付いたんです。「私って、営業に向いてるのかも」。徐々にそう考えるようになりました。キャリア形成のターニングポイントは何かと問われたら、最初に思い浮かぶのがこの惣菜ショップでの経験です。後に就職活動で“学生時代に力を入れたこと”を質問された際も、ほとんどの面接でアルバイトの話をしました。ここで身に付けたことは、銀行に入社した後の営業活動でも本当に役立ちました。学びもお金も得られて、一石二鳥だったと思います。

 

そのように、大学2年次まではアルバイト三昧でした。「お金って面白い。私はお金を動かしたり、経済を回すことを考えたりするのが好きなんだ」と自覚するようになり、営業職の中でも金融業界へ気持ちが傾いていったのはこの頃です。外国語学部でしたが、金融業界を志望するなら経済についての知見を増やしておいた方がいいだろうと考えて、3年次から経済学部のゼミナールに入ることを決めました。

企業がどのように業績を伸ばしているのか研究するのがゼミのテーマ。新聞を読んで、気になった企業の取り組みをA4のレポート1枚にまとめ、毎週ディベートを行いました。経済について自分の頭で考える力を養うことができましたし、金融業界に就職が決まっていたゼミの先輩からおすすめのインターンシップについてアドバイスも頂きました。「金融という仕事は、ものを売るのではなく、お客さまに信用していただけるよう自分を売り込む仕事」。インターンシップに参加するうち、私の中には金融業界のイメージができあがっていきました。証券会社や保険会社も魅力的でしたが、最も心に響いたのは銀行の仕事でした。金融の中でも、銀行の業務は幅広い。だからこそ、学んだことが仕事に役立つだけでなく自分の人生の糧にもなるんじゃないかと思ったんです。

02雲の上の存在のようなお客さまからいただく感謝の言葉

みずほ銀行へ入社し、最初に配属されたのは横浜駅前にある支店でした。担当は、個人の資産運用をお手伝いする仕事。お客さまに恵まれ、やりがいも感じていたのですが、次第に「今後も個人のお客さま、特に富裕層の方々のご相談に応えていくためには、もっと幅広く金融の知識を身に付ける必要があるのではないか」と考えるようになりました。一例を挙げれば、銀行のメイン業務である与信・貸出についてです。当時の私の所属部署からみれば業務外ですが、貸出についての知見は、富裕層の資産コンサルティングには不可欠な要素。ボリュームの大きな個人資産をお持ちのお客さまがいらしたとして、その方が不動産を購入し、それに伴って銀行から借入をすると、相続税の対策にもなる可能性があるのです。どのくらいの借入をすればお客さまにとって最適な効果が得られるのか。貸出を理解していないと、その試算を行うことができません。

 

悩んでいるうちに、入社6年目で町田支店への異動の辞令。当行には支店に所属しながら本部で研修を受けられる制度があるので、このタイミングで支店業務と兼務しながら本部の融資営業部へ通うことに決めました。新たな業務に挑戦できるワクワクした気持ちを今も覚えています。貸出業務で驚いたのは膨大な事務の量です。融資に関連する書類の点数は、他の業務と比べて圧倒的な多さ。それは、融資を行う上では、お客さまからお預かりしたたくさんの情報をしっかり精査する必要があることを意味しています。また、研修中は、決算書を通してお客さまの資産と負債の状況を読み取る作業にも苦心しました。決算書については入社時の研修でも学んでいたのですが、仕組みを理解するだけでなく、数字から得た情報を使ってお客さまの悩みや課題にアプローチできるまでの力を付けるには経験が必要です。半年にわたるこの研修では、多くを学ばせてもらいました。

 

町田支店では、現在にいたるまで、地権者様や企業オーナー様の資産運用や承継対策、相続税対策に携わり、不動産を含む総合金融コンサルティングを行っています。横浜駅前支店で行っていたサービスの延長線上にある内容ですが、業務の幅は飛躍的に広がりました。担当するお客さまの資産のボリュームも大きくなり、普段の生活の中ではお会いできないような方々からお話をうかがう機会が増えて、そのスケールの大きさに驚くこともしばしばです。そういったお客さまから“金融のプロ”として扱っていただき、提案の結果に対して感謝の言葉を頂戴できることが、今の私のモチベーションになっています。異動した当初は戸惑いもありました。横浜駅前に比べると、町田は地場の金融機関が強い土地柄です。富裕層の方々のところにはお付き合いの長い金融機関の担当者が複数出入りしており、当行はメインバンクとは見てもらえず、「お金の悩みはあるけれど、みずほさんに相談してもな…」という気持ちがお客さまの表情に透けて見えることもありました。最近は心を開いてくださることも増えてきましたが、お客さまに信頼していただくにはどうしたら良いか、今も常に考えています。現在9年目。中間管理職となり、人の意見をまとめたり、後輩の育成指導をする場面も多くなりました。新人の頃からずっともがいてきましたが、キャリアを積むほど新たな課題が見えてくるので、ずっともがき続けています。だからこそ飽きずに仕事を続けられるのかもしれません。

 

私は、就職活動に向き合う中で、多くの出会いを経て新しい自分の価値観や適性を発見することができました。情報が溢れている今だからこそ、自分の目で見たり、人に直接会って確かめることの重要性は増しているような気がします。皆さんも、悔いのないように全力でチャレンジしてください。

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※内容はすべて取材当時のものです。