在学生(学部・大学院)

数学の力で社会課題を解決する

劉 雅婷 工学研究科・修士2年生
経営システム工学研究室
中国・大連出身

世の中のさまざまな課題を、 数式化して解決法を導き出す。 その面白さに魅了され、「問題解決学」の世界へ

INDEX

01幼い頃から憧れていた日本で学ぶことを決意

中国の大連で生まれ育ちました。大連には日本企業がたくさん進出していたので、幼い頃から日本文化や日本人になじみがあり、礼儀正しくて優しい日本人に好感を持っていました。日本で学びたいと思い、高校卒業後に来日。2年間日本語学校で学んだ後に神奈川大学工学部経営工学科に進学しました。

神奈川大学は設備が整っていて非常に環境が良く、奨学金も充実しています。また、高度専門職ポイント制※の対象大学でもあり、卒業後は日本で働きたいと思っていた私にとっては非常に魅力的でした。

経営工学部を選択したのは、経営工学は数学の知識を用いて経済や社会の課題を解決できる学問だと知り、得意な数学が活かせると思ったからです。

※高度専門職ポイント制=高度外国人材と認められた人は、入国手続きの短期化、就労期間の延長など、さまざまな優遇措置を受けられる。高度外国人材とは、 大学・大学院卒、および専門的な技術力や知識を有する外国籍人材などを指す。

02世の中のさまざまな問題を計算で解決する

大学3年のときに、片桐英樹教授の経営システム工学研究室に入りました。

この研究室では、社会に存在しているさまざまな問題を数式化(モデル化)し、それを解くための計算手法(アルゴリズム)を開発して解いていく「問題解決学」を研究テーマとしています。
数学で世の中の問題解決ができる面白さに魅了され、大学院に進学後もこの研究室で研究を続けています。

私が取り組んでいるのは、「学校給食の最適献立自動作成」です。学校給食は、栄養摂取量、使用食材、コストなど、さまざまな制約があります。また、味が単調にならないよう、変化のある献立も考えなければなりません。最適な献立を作成するためには多くの手間と時間がかかり、これを栄養教諭が一人で行うのは非常に大変です。

私は献立作成を、数多くの料理の中からの選択・組み合わせだととらえ、それを複数日に展開する「組合せ最適化問題」として数式に落とし込みました。そして、似た料理ばかりの組み合わせにならないよう食材と調味料を考慮し、多様な献立を作成できるアルゴリズムを開発しました。

このアルゴリズムを使って実際にある自治体の学校給食献立の実データで実験をしたところ、味や食材に偏りがなく変化に富んだ献立作成をすることができ、現場の栄養士から高い評価をいただきました。

私はこの研究は、学校給食現場の課題解決に貢献できるものと確信しています。また、この自動献立作成モデルの導入によって、学校の児童生徒が多様な食材と味を経験できることは、「食育」の推進にもつながると思います。

この研究成果は、第86回情報処理学会全国大会で発表し、学生奨励賞を受賞することができました。

03素晴らしい先生や先輩たちとの出会い

神奈川大学には素晴らしい先生がたくさんいらっしゃいますが、なかでも片桐先生はダントツに面倒見が良い先生だと思います。質問にはとても丁寧に答えてくれますし、困ったときは親身になって相談に乗ってくれます。研究のことだけでなく、社会に出てから必要な論理的思考力やコミュニケーション力が身につくよう気を配ってくれるので、とてもありがたいと思っています。

情報処理学会のプレゼン資料を作るときにも、片桐先生が丁寧に指導してくださいました。特に工夫したのは献立作成のアルゴリズムを図で説明する部分です。どのように図説すればわかりやすいか、先生が何度も添削してくださり、結局14回くらい修正しました。そのおかげで誰が見ても伝わりやすい資料ができました。学会発表で学生奨励賞をいただけたのも、先生のご指導があったからこそだと感謝しています。

先輩たちには発表の練習にも何度もつきあっていただきました。私はもともと発表が得意ではありませんでしたし、日本語にも自信がありませんでしたが、先生や先輩の前で何度も練習したおかげで自信を持って発表ができるようになりました。

研究室には優秀な先輩たちが集まっていて、とても意欲的に研究に取り組んでいるので、「私もがんばろう」と刺激になります。

「最適化問題」は一生かかっても解けない問題がたくさんあります。私も、いくら考えてもどうしてもわからないことは常にありました。しかし、先生たちや先輩たちに相談して専門的なアドバイスをいただくことで、気持ちが折れずに研究を続けることができました。この経験から、モチベーションを高く保ち続けることやあきらめない姿勢が自分を成長させる秘訣だと感じました。

神奈川大学の6年間で私は大きく成長できました。先生や先輩にしていただいたことを、今度は自分が後輩にお返ししたいと思っています。

来年からはIT系の企業に就職することが決まっています。片桐先生には、社会人に必要な意識やスキルをしっかり教えていただいたので、自信を持って働けると思っています。

04大学院の2年間は可能性を広げる貴重な機会

私は、大学に進学した時点で大学院進学を考えていました。グローバルな視点で見ると、修士の取得は絶対に必要だと思ったからです。早くから目標を持ったことで計画的に勉強ができ、無事大学院に進学することができました。

大学院の2年間は、社会人になる前に自己認識・自己成長することができる、とても貴重な機会です。一生懸命に努力すれば、自分の人生を変えられる可能性があります。そのためには、良い指導教員や研究室を選ぶことがとても大事です。神奈川大学にはその両方があります。

また、神奈川大学の学生は皆まじめで意欲的なので、真剣に学びたい人には最適な環境です。一緒に学びたい、成長したいと思った方は、ぜひ神奈川大学大学院をおすすめします!

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※内容はすべて取材当時のものです。