卒業生

ガイセン(堀)くるみ 東日本大震災に遭い、志望校で英語を学ぶ夢が叶わなかった高校時代。大学では思い切り英語を学びたい!と強く思っていた私が選択したのが、神奈川大学経営学部でした。現在はアメリカを拠点に複数のビジネスを手がける、2児の母です。

ABKA JAPAN 代表
(2019年卒業)

INDEX

01英語を学ぶ夢が絶たれてしまった東日本大震災。

高校時代のガイセンさん
高校時代のガイセンさん

10代の頃、まさか今、自分がこんな場所に立っているとは思ってもみませんでした。それも全て、神大のおかげだったと感じています。
中学生の頃、海外の文化が好きだった父の影響もあり、英語に目覚めました。一言で言うなら「英語オタク」。英語が好きすぎて学校の授業だけでは物足りず、独学で勉強を始めました。当時、宮城県に住んでいたのですが、英語に強い高校を進学先として狙っていたんです。しかし中学3年の進級時、東日本大震災に遭いました。目指していた高校は海に近く、親の反対もあり断念せざるを得ませんでした。英語を学びたい思いが絶たれてしまったことが、むしろ英語への情熱を一層強くしました。当初、希望していた高校とは違う所に進学しましたが、高校時代は海外ドラマのファンサイトを立ち上げて、オンラインで世界とつながっていました。

大学への進学は英語が本格的に学べる、留学もしたいと、やりたいことに溢れていました。県立大学を含めていくつか合格通知を得た中で、神奈川大学を選択。
給費生試験に合格したことで学費が免除されることも魅力でしたし、何より留学制度が充実していました。給費生向けの海外制度や経営学部独自の留学制度があり、自分が留学できる将来像を一番身近に感じたのが神大でした。

02経験したからこそ言える、海外を目指すなら神大へ!

写真はアメリカのパデュー大学への留学時
写真はアメリカのパデュー大学への留学時

入学してからは、留学に必要な単位の話をするのにいきなり学長室を訪ねたり、経営学の授業で出された「両親への手紙」という課題を英語で提出したり、…本当に突拍子もない学生でした(笑)。ただ、私が良かったと思うのは、学部の枠を超えた給費生同士のつながりがあったこと。彼らの中には私がかすむくらい独創的な人も多くて、そんなユニークなメンバーとのつながりに“1人じゃないんだ”という一体感を得ていました。そうして念願の短期留学に旅立ちます。大学1年生の時に向かった先はアメリカのパデュー大学。
初海外、初アメリカ。その洗礼は想像以上でした。ドラマで見たままのアメリカがそこにあって、積極的にディスカッションする学生たち。自分の意見をはっきり伝える姿は、すごく格好よかった。全身で世界の広さを体感するとともに、独学で勉強してきた英語が全く通じなかったことも、自分を奮い立たせる要因でした。もう一度、この場に戻りたいと心に誓い、翌年、長期留学で再びパデュー大学へ。その留学中に成績優秀者として“Semester Honors”と“Dean’s List”に選ばれたことは大きな自信になりました。神奈川大学では留学先の履修科目が単位互換されるのですが、好きなことを極めたい人にとって素晴らしい制度だと思います。
学生時代、お世話になったのが行本先生でした。とても包容力のある先生なので、周りに集まってくるのも個性的な学生が多かったですね(笑)。行本ゼミで出会ったベトナム人の留学生とは、今も連絡を取り合う親友の一人です。行本先生は、英語しか武器のなかった私の可能性を広げ、世界に繋いでくれました。大学を選ぶ時に、少しでも海外に関心があるなら神奈川大学を調べてみてください。自分の経験談から「海外なら神大」と自信を持って言えます。

03ABKA JAPANの立ち上げ。悔いなく今日を生きることが、私の原動力。

ABKA JAPAN
ABKA JAPAN

2度目の留学時に出会ったのが、現在の夫です。アメリカ人の彼は、私が長期留学から帰国する際に神大の留学生として訪日し、私たちは20歳で婚約しました。在学中に移住・永住権を取得して、22歳の時に2人でアメリカに渡りました。…とは言っても、私たちには職もない、家もない、車もない!何も考えずにアメリカに転がり込んだのです(笑)。なんとかアパートを借りて、商品の輸入販売に興味があった私は貿易業をスタートしました。苦戦の連続でしたが、ある日、エチオピア産の革に関する記事を読みました。エチオピア産の革はしなやかで、なめらかで、ポテンシャルがあるのに、原材料として輸出されていたため「エチオピア産の革製品」の認知度が低い。エチオピア政府も革産業を奨励しているけれど、海外進出に苦戦していることを知りました。「これだ!」と思った私は、エチオピアの革製品を取り扱うメーカーに「日本で販売しませんか?」と片っ端から問い合わせしました。でも、無名の個人事業主は見向きもされない。そこで、エチオピア人の友人を作る「トモダチ大作戦」を決行。ペンパルサイトで知り合ったエチオピアの商工会議所の方にバッグメーカーの〈ABKA〉を紹介していただき、パートナー契約を結ぶに至りました。

エチオピア産〈ABKA〉の革バッグ
エチオピア産〈ABKA〉の革バッグ

〈ABKA JAPAN〉の事業を軌道に乗せるために、2021年、クラウドファンディングで資金を募りました。〈ABKA〉のバッグを買うと、その収益の一部がエチオピアの女性教育支援に活用されます。単に輸入販売するだけではなく、社会貢献に特化したクラウドファンディングとして起案しました。まだまだ市場基盤がないので事業内容を知ってもらうことが優先事項ではありますが、マスプロダクションにしたい訳ではなく、エチオピアの革製品の良さをわかってくれる1人でも多くの方へ商品を届けたいと考えています。
自らクラウドファンディングを立ち上げたことで、いろいろな方から連絡をいただきました。「海外クラファン」への関心の高さを感じ、クラウドファンディングをサポートする事業を立ち上げました。すると今度は「海外で起業するには?」、「海外でSNS事業をするには?」とクラファンに関連した相談が派生し、それらも今、事業のひとつになっています。私がリアルタイムでアメリカにいることで得られる情報も多く、そのメリットを活かした「アメリカの市場調査」に関する事業を協業で行う計画も現在、進んでいます。諦めず行動し続けたことが、日本とアメリカをつなぐビジネスとなり、自分の世界をどんどん広げています。
「自分の人生は自分で切り拓く」そんな夫のアメリカン・スピリットにも支えられ、子育てをしながら無我夢中で走り続けてきました。私の原動力は「悔いなく今日を生きること」です。東日本大震災で、日常が日常ではなくなってしまうことを身をもって経験しました。明日がどうなるかもわからないからこそ、今日、この時を大事にしてほしい。自分の気持ちに正直に、悔いのない人生を歩んでいきましょう!

※内容はすべて取材当時のものです。