卒業生
「遠藤さんだから買う」と言っていただける関係づくりが、営業の腕の見せ所。
遠藤 和志
経済学部 経済学科
職種:食品メーカー 営業職
就職先:エバラ食品工業株式会社
INDEX
01自社の利益だけを追うのではなく、相手目線の提案を行う
たくさんの商品が並ぶスーパーマーケット。親戚が集まるお盆には焼肉のたれが目立つ場所に置かれますし、肌寒くなってくるとお鍋の素の種類が増えますね。そういった商品は、ただなんとなく並べられているわけではありません。私のような食品メーカーの営業担当がお店と相談しながら、パッと見て分かりやすく、思わず買いたくなるような売り場を工夫しながらつくっているんです。
スーパーマーケットなどの量販店や卸売店といった顧客との取引を拡大して、より多くの商品を置いていただけるよう、バイヤーに商品の説明をしたり、販売促進企画を提案するのが私の仕事です。営業活動をする上で心がけているのは、「自社の商品を売りたい」というエゴだけで動かないこと。消費者の皆さまに「おいしかった」と満足いただくことはもちろんですが、取引先である量販店全体の売上拡大が私の達成すべきゴールです。
入社当時は、頭では分かっていても、その意識がまだまだ足りませんでした。弊社にはカテゴリー別の売れ筋No.1商品が多くあるため、バイヤー側から相談を持ちかけられることもあり、経験の浅い新人でも営業活動がしやすかったからです。しかし3年目に異動した長野県で、弊社商品のシェアが低いスーパーマーケットを担当することになり、私は頭を抱えてしまいました。商談したくても「うちはもう○○食品と取引しているから」と相手にしてもらえないのです。そこで、まずは私のことを知ってもらうために、何度も担当者のもとへ足を運びました。顔を覚えてもらい、話を聞いていただけるようになったら、次は先方の課題に対し、POSデータ(販売時に記録されるさまざまなデータ)に基づいた売り場全体視点の提案を行います。最後のひと押しは、自社商品と類似の他社商品の試食セットをお持ちして、実際に食べ比べていただくこと。子どもから大人まで万人受けする味には絶対の自信があるため、舌の肥えたバイヤーならきっと分かってくれるはずだと信じていました。
その結果、注目商品を並べることの多い「エンド」と呼ばれる陳列棚の端の売り場づくりを任せてもらえた時は思わずガッツポーズでした。さらにスーパーマーケットの売上も、たれカテゴリー全体で前年比大幅アップを達成。それ以来、「遠藤さんに相談したい」と指名で声をかけてもらえるようになったのです。自社の利益だけを追うのではなく、相手に価値をもたらすことの意義を痛感した経験でした。
現在は東京支店で、首都圏エリアの量販店と全国チェーンの量販店本部を担当しています。30歳を前にして、今はどんどん仕事が面白くなってきたところ。自分の提案が反映された売り場を目の当たりにすると毎回心が踊りますし、売上拡大につながれば達成感もひとしおです。これからは、後輩や他部門を巻き込んだ新しい取り組みも提案し、営業部門を引っ張っていける存在になりたいと思っています。
02アルバイト先での成功体験から営業職を目指すように
私が神大を選んだのは、姉がきっかけ。リーマンショック後の採用が厳しいときに、驚くほどスムーズに就職先を決めてきた姉が通っていたのが、神奈川大学でした。当時の私は将来のことなど何も考えていませんでしたが、「とにかく就職に強そうな大学に入って、後から考えよう」と進学を決めたんです。
学生時代のいちばんの思い出は、4年間続けた創作居酒屋でのアルバイト。ある時、店長がランチ営業を始めました。既存のお客さまからの評判は良いのに、なかなか客足が伸びない。「どうしたら新規のお客さまを呼び込めるのか」とバイト仲間で話し合い、SNSが苦手な店長に代わって私たちがInstagramやX(当時Twitter)の公式アカウントを運営し、フォロワー対象ドリンク無料キャンペーンを行うことに。ちょうどゼミで経営戦略論を学んでいたこともヒントになりました。その結果、認知が広がり客足も増えて、ランチの売上拡大につなげることができました。うれしかったのは、来店されたお客さまがメニューや接客を気に入り、また別のお客さまを連れてリピートして来てくださったこと。もともと接客が好きで始めたアルバイトでしたが、この成功体験によって、自分次第で売上をつくり出すことのできる営業という仕事に興味がわくようになりました。
経済学科だったので「人と関わる営業の仕事」として最初に思い浮かんだのが金融関係。大学3年次、銀行でのインターンシップに参加したのですが、アルバイトで感じたような手応えが得られませんでした。「自分には、かたちのないものを売る営業は向いてないのかも。じゃあ、どんな商品なら売りたいと思えるだろう?」。悩む中で見えてきたのは、自分にとって身近な商品なら人にも薦めたくなるのではないか、という思い。そうした頃、何気なく冷蔵庫を開けて目に留まったのが弊社の商品でした。子どものときから食べ慣れた焼肉のたれ。母からの仕送りに必ず入っていた「プチッと鍋」。当たり前に近くにあった大好きな味なら、自信を持って営業できる!それからは迷いなく就職活動を進めることができるようになり、晴れてエバラ食品工業の営業担当に就くことができました。
もしインターンシップに参加せず、イメージだけで銀行員になっていたら、今ごろ仕事にやりがいを見出せずにいたかもしれません。学科での学びやアルバイト経験も含めた大学4年間のすべてが、自分を今の場所に導いてくれたと思っています。限界を決めず、まずはやってみること、行動することで新しい発見や気付きがあり、それが自身の成長につながっていくはずです。
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※内容はすべて取材当時のものです。